察する力

久しぶりに京都に訪れた。
今回は豆腐料理を頂きに足を運んだが、料理はもちろん庭など素晴らしいモノをたくさん目にした。そのなかでも今回は置き石についてお話ししたい。
とある通りの塀沿いに置かれた石は、おそらく駐車禁止を促すものだと思った。そこには「駐車お断り」の注意書きなどは書かれていない。京都では景観を意識して大手チェーン店の看板でも色彩や高さをアレンジされているというのは有名な話だ。色彩を調整して目立たなくするというのは手法としても手軽で効果も大きい。しかし、今回目にしたのは働きかける側と受け手が互いに「察する力」が必要となる方法だ。この淡い空気感に日本の美を感じた。
 自然が美しい環境を大事にする気配りはあっても、「ゴミを捨てるな」の看板が景観を損ねることまで気が及ばないケースをよく目にする。注意書きを見ても適切な行動をとれない人は残念ながら存在する。そこに必要な空気感をデザインすることで、人にあたえる影響力を齎すことができれば、美が共存できるのではないだろうか。(U3)