戦闘機の選定項目にデザインはあるか?





航空自衛隊の次期戦闘機FXの機種選定が大詰めを迎えている。受注額は数千億円を越え、極東の安全保障に大きく影響するため大きな関心事になっている。候補に挙がっている国の軍事関係閣僚や企業が来日し活発な売り込みをおこなっているニュースを最近よく見る。


しかし、それらは 我々一般国民が直接選定に加わることはなく、納税者として外野から見ているだけだ。税金を無駄なく、安全保障体制に最大限効果を発揮する機種にしてね、と願うだけである。あとはその道のプロにお任せというわけだ。

強いて言えば、各候補に挙がっている戦闘機のどれが格好いいか評価するぐらいである。ネット上ではユーロファイターが人気のようだ。個人的にも、ユーロファイターはコックピット横にある全遊動式のカナード翼(先尾翼)がアクセントになっていて格好の良いデザインだと思う。それに比べてF-35はなんとも米軍らしい保守的なデザインだろうか。

さて、機種選定項目に“デザイン”というのはあるのだろうか?もちろん無いはずだ。戦闘機は敵を倒すために作られた機能最優先のデザインである。その機能美がコンシューマープロダクトに影響することがあっても、戦闘機自身が納税者を意識した受けの良いデザインを施すことはない…はずだ。

今日、“日経ビジネス”を見ていたら、なんとロッキードマーチン社のF-35の広告が出ていた。戦闘機の広告を見るのは初めてだ。“日経ビジネス”の読者の殆どは軍事産業とは関係の無いはずである。例えば三菱に勤めているからといって、その社員全員が軍事関係ではない。割合としては低いはず。中学の同窓会で友人が戦車の営業をやっていると聞いて驚いたが、レアなケースである。

この広告はF-35の写真と日本の安全保障に対する意気込みを語り、日本の一般的な納税者に対してアピールしている。そこでクローズアップされるのは“デザイン”である。戦闘機に対する知識が乏しい納税者は戦闘機の写真を見て、そのデザインが日本の空を守る信頼できる機種かどうかを判断する重要な拠り所になるはずだ。

機能的には満足だが、頼りないデザインだと納税者が納得いかないなどという議論があったら面白い。戦争とプロパガンダは一体という歴史から見て意外と馬鹿に出来ないと思う。選定項目に“デザイン”の要素を入れたらどのような評価が下るのかとても興味がある。

開発サイドにもそのような視点があるかもしれない。実際、戦闘機の初期イメージスケッチはやたら格好良いのがある。是非、戦闘機の開発担当者に聞いてみたいものだ。
(tarokin)