GLOBAL NEW ART ―現代アートをもっと楽しむために―


 新宿にある損保ジャパン東郷青児美術館で開催されている、“GLOBAL NEW ART”という企画展を見に行った。新宿も人混みで有名だが、通勤路で慣れておりかつ副都心の人混みは酷くないことから、上野の国立博物館ほどの疲労感を感じない場所である。先日行った上野は、パンダあり恐竜展ありで夏休みイベントとして最高潮に盛り上がっていたからしょうがない。

 さて、この企画展はつまるところ、コレクターの田口弘氏が集めたものをお披露目してくれるものだ。世の中に美術コレクターは多く存在し、社会で成功して金銭に余裕が出た人がコレクターになるケースが多い。ロスに駐在していた頃は、ゲッティ・ミュージアムというダウンタウンを見下ろす丘に鎮座している巨大な美術館によく遊びに行った。石油王として知られるポール・ゲッティ氏が収集した美術品のミュージアムで大富豪の規模に圧倒される。一方、やはりハリウッドにあるせいか、またあまりにも規模がでかすぎるのか全てが虚無に見えてしまうのが不思議である。美術品を見せる雰囲気作りはとても重要で、同じくロスのパサディナにあるノートンサイモン・ミュージアムは雰囲気があってよい。強い日差しのロスの中、館内を程よく暗くして美術品を上品に展示してある。

 今回の企画展は、新宿の損保ジャパンビル42階にある東郷青児美術館にて開催されているが、いかにもビルのフロア的な美術館で残念ながら雰囲気としてはあまり盛り上がらない。ゲッティ・ミュージアム同様に美術品を展示する空間やロケーションはとても重要であると改めて感じた。
 “現代アート”というテーマで、アンディ・ウォーホルやキース・ヘリングなどポップアートが軸になっている。ポップアートは大量消費社会のコマーシャリズムを皮肉りながらも、それを逆手にとってサブカルチャーとして昇華しているところに魅力がある。ポップアートに多く用いられたシルクスクリーンという手法は、芸術を“消費する”手段として最も適していたのだろう。話しは逸れるが、浮世絵もある意味同じと言える。江戸のポップアートだ。

 この企画展で面白いのは、田口弘氏の自宅の写真を公開しアートと生活する様子を紹介していることだ。たしかに、日本の住宅でゴッホとかルノアールを飾っても、何となく様にならない気がする。その点、ポップアートはカジュアルに自宅で楽しむアートとしてはいい。畳の部屋に飾っても違和感が無いと思う。なぜならば、「畳に合う美術品→浮世絵→ポップアート」という勝手な連鎖が私にあるからだ。お金に余裕があれば、家の和室に美術品の一つや二つ飾りたい。(tarokin)