CLOTHES DRYER MAMA_SIDE BY SIDE


いまどき、木製の物干し台を使っている方はあまりいないのかもしれない。

私の場合、洗濯物を外に干せない、もしくは干したくない事情があって、室内に干すことが多いのだが、そうなると物干し台というやっかいなものを室内に置く ことになる。量販店に赴けば、それこそ様々な種類の製品が存在するが、どれもステンレスやプラスチックで構成され、屋外使用を前提とした生活感溢れるもの ばかり。こういった生活必需品こそなんとかしたいものだが、コストを最重要視される領域だけに、なかなか難しいのかもしれないと半ば諦めかけていた。

ところがふと思い出した。たしかドイツの家具見本市を訪れた際、各都市の障害者工房と一般工房の技術者、デザイナー、コーディネーターなどをつなぎ、プロ ジェクト化した製品を扱うデザインブランドを見かけたことがあったはずだ。慌てて検索したところ、まさにお目当てのものが見つかった。シンプルかつ機能的 な木製の物干し台「CLOTHES DRYER MAMA」

ブランド名は「SIDE BY SIDE」 彼らのコレクションにはドイツの木工技術を生かしたシンプルなものが多い。ドイツ各地の地域産業とデザイン、そして障害者の社会参加をつな ぎ、優れた製品の開発と発信を実現してみせるこのプロジェクトは、これからのデザインのあり方、その理想型のひとつを体現している。日本でもデザインを活 用することによって同じような試みが成されているが、地域の特性を考慮するあまり、その地域に限られた視座に止まることが多く、「SIDE BY SIDE」のように各地域の連携といった広がりにまで至るのが難しい。その困難を乗り越える彼らの活動には、デザイナーとして共感できる部分が多くあるの だ。

そして「CLOTHES DRYER MAMA」である。店員に訊けば売り上げも上々で、常に入荷待ちの状態らしい。ドイツ製だけあって多少大柄で使う場所を選ぶかもしれないが、かなりしっか りした造りで使用感も良い。無垢のアッシュ材で出来ているので、折りたたんでベットルームに立てかけておいても違和感がない。あえて表面処理を施していな いのか、木肌が未処理のままなので、木材の生の感触が楽しめる。これなら汚れたりキズがついたりしても、風合いとして良い方向にはたらくだろう。これで長 年の悩みから解放され、思う存分洗濯ができる。(urikura)


SIDE BY SIDE


紹介動画(ドイツ語)