iida EXHIBITION 2010 SUMMER


表参道ヒルズのB3F スペース オーにて開催された「iida」の新製品展に参加した。KDDIは新しい携帯電話のライフスタイル提案として「LIFE>PHONE」を コンセプトに掲げ、それを具現化した製品として「LIGHT POOL」を新製品として発表した。

「LIGHT POOL」は若手クリエーターの坪井浩尚氏がデザインを担当し、光にあわせて奏でられる音楽を高木正勝氏が担当した意欲作。自然の「風景」やその中でドラ マチックに変化する「現象」からインスピレーションを受けて、日常の中に癒しを与えてくれる存在を目指したそうだ。また、機種変更したときに使えなくなる 携帯電話ではなく、光の演出がいつまでも癒しを与え続けられるプロダクトでありたいと願っていると説明されていた。

自 然と相反するかのような人工的で美しい幾何学的パターンは、強度や握りやすさを追求したデザインと説明。光を透過する樹脂は、様々な試行錯誤を繰り返して たどり着いたという。実際に握ってみると、程よいグリップ形状と触感が印象的であった。

建築的な構造は握りやすく触感も特徴となっている

カメラとスピーカー部はイメージを壊さないように配慮してあるが唐突感は否めない

自然の「現象」からインスピレーションを受けたと説明するの坪井浩尚氏

様々なライティングの演出。生活空間に癒しを与える。

実現するために細かい部分までこだわったと説明



発表会では、この新製品以外に彫刻家名和晃平氏のコンセプト作品や、フラワーアーティストの東信氏の作品が展示され、日本の若手クリエーターの俯瞰することができる貴重な場となっていた。

一方、気になるのが携帯電話そのものである。若手クリエーターが新しい視点でデザインを施しても、キー面は従来のレイアウトで新鮮味はなくカメラやスピーカーの部分も技術要件を考慮し「イメージを壊さないようにまとめた」レベルになっている。そこに、今の日本メーカーの限界ラインを感じてしまうのは私だけだろうか。

また、携帯電話の基本機能に新しい提案が伴っていないと、折角の「LIFE>PHONE」というわりには表層的な部分を若手クリエーター任せているだけという印象になってしまう。「iida」は、クリエーターのキャンパスとしての役割に徹しているだけではなく、今後、携帯電話がライフスタイルをどのように変えていくのか、その提案を見せて欲しい。(tarokin)